琉球王府最高位の神女・聞得大君のかんざし 「金銅雲龍文簪」

2024年3月21日(木)放送分

担当は上地和夫さんです。

琉球新報の記事から紹介します。

国の重要文化財に指定される県立博物館・
美術館保管の「金銅雲龍文簪」は、
カブと呼ばれる直径10・8センチの
飾り部分と、髪に差す茎部でできており、
全長27センチの大きさです。

カブの側面には玉を手に持つ2頭の龍を、
手工具の鏨を用いて立体的に彫られており、
かんざしは銅製で表面に
鍍金が施されています。 

金銅雲龍文簪は王府の正史「球陽」に
記されている聞得大君と王妃が身に着けた 「黄金龍花大簪」に当たります。

漆工芸など王府伝来の遺品に多く見られる
「天」の字を形象化した印が刻まれています。

かんざしは戦前、
中城御殿に保管されていましたが、
沖縄戦の最中にアメリカ軍人により持ち去られ、
戦後は一時行方不明となりました。

アメリカへ移民として渡った県出身の
吉里弘さんらがアメリカ国内の関係者に
掛け合い、沖縄の人たちが返還を
望んでいることを訴え続け、
1953年に『おもろさうし』などと一緒に
沖縄へ返還されるなど、
苦難の歴史をくぐり抜けました。

金属工芸の専門家で、かんざしの復元作業にも
携わった京都国立博物館名誉館員の
久保智康さんは、
「琉球王府の金工技術のレベルの高さを
改めて立証している。
琉球史研究の貴重な史料として、
後世に伝えていくべき作品だ」
と述べました。

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