新報短編小説賞 最終選考会ひらかれる

方言ニュース   
2024年1月31日(水)放送分

担当は上地和夫さんです。

琉球新報の記事から紹介します。

第51回琉球新報短編小説賞の最終選考会が
このほど那覇市の琉球新報社で開かれ、
宜野座村出身で奈良県在住の
上地庸子さん(35)歳の「寄居虫」が
正賞に決まりました。

応募作37編を予備選考で6編に絞り、
芥川賞作家の又吉栄喜氏と元琉球大教授で
作家の大城貞俊氏による最終選考を
実施しました。

「寄居虫」は赤子を失った主人公の女性が
ある晩、寝室にやって来たヤドカリを
きっかけに、生きている実感を
取り戻していくという物語で、
又吉氏は「ドラマが生まれそうな予感が
読者を離さない。発想が面白く、不気味で、人間味がある。
衝撃的な結末が余韻を残す。

人間の根源的なことを記した
希有な小説だ」と述べました。

大城氏は「人間の寂しさ、
悲しさを周到に表現した傑作だ。
主人公、私の悲しみがヤドカリや風景描写に
メタファーとして投影されている。
文学的な資質や表現に優れた作品だ」と
激賞しました。

作者の上地さんは、
身近な人の体験から着想を得たということで、
「みんな何でもないような顔をして
生きているけど、
その裏で苦しみや孤独を抱えている。
そのありさまを書きたかった」
と語りました。

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