「カー」の魅力一冊に

2022年2月1日(火)放送分

担当は宮城葉子さんです。

琉球新報の記事から紹介します。

琉球大学名誉教授の上里勝實さんは
先月、琉球新報社から
「沖縄の湧水・井戸見て歩き」を出版しました。

沖縄本島内818カ所のカーが掲載されており、
写真や地図に加え「美女の樋川」
「国王に献上する若水が汲まれた」などと
紹介文が添えられています。
排水路への転落、林道をさまよったことなどの
失敗談も盛り込まれています。

上里さんがカーと出会ったのは20年ほど前で、
うるま市兼箇段で待ち合わせ中に、
「チョン、チョン」と水の滴る方に目をやると、
澄み切った透明な水が湧き出ていて、
心が揺さぶられました。

それから時間を見つけては各地を回り、
文献や地域の人々の記憶、
記録を頼りにカーを訪ね歩き、
カーは人々の命を支えるとともに、
拝所などとして地域の祭祀や行事で
重要な役割を果たしていることが分かりました。

一方、上下水道の整備によって、
人々の生活からは遠のき、放置されたり、
忘れ去られたりするカーがある現状を目の当たりにし、
「あまりに残念。身近にあるカーを知ってほしい」
と、本を出版することにしたものです。

上里さんは
「カーが地域の共有資源として
大切に保存され、継承しなければならない。
資料としても活用してほしい」
と思いを込めました。

再生