「声楽譜付 工工四」の初版本を寄贈

2022年4月18日(月)放送分

担当は上地和夫さんです。

琉球新報の記事から紹介します。

野村流の伊佐川世瑞と世禮國男が発刊した
「声楽譜付 工工四」の初版本全4巻が近く、
県立図書館に寄贈されます。

「声楽譜付 工工四」上巻の発刊は1935年で、 
県立図書館にも所蔵されていません。
伊差川、世禮両氏に師事した蔵元繁雄さんの
四男の新さんが保管していました。

繁雄さんは、県指定無形文化財
「沖縄伝統音楽湛水流」保持者で、
琉球古典音楽湛水流保存会の会長も
長く務めました。元教員でもあり、
1928年に平安座小学校に赴任した際に、
世禮の長女の担任を務めた縁で、親交を深め、
この書を世禮から直接受け取りました。
繁雄さんは、この書を教科書に、
伊差川から直接指導を受けました。

寄贈される「声楽譜付 工工四」には、
伊差川との稽古で指摘された声楽譜の誤りを
訂正する記述も見られ、
繁雄さんが真剣に楽典と向き合った様子が
うかがえます。

「声楽譜付 工工四」は36年に中巻を発刊し、
伊差川が37年に急逝したため、下巻と続巻は、  
伊差川とまとめた生前の原稿を元に、
世禮1人で発刊しました。
下巻に世禮が記した
「謹呈 蔵元繁雄さま 世禮生」の文字からは、
出版に至った喜びがにじみ出ています。

新さんは
「のちの世まで保管してもらい、
関心のある人にぜひ見てもらいたい」
と話し、この書が古典音楽の
発展につながるよう期待しました。

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