末吉公園で「ノロ殿内」跡が発掘

方言ニュース 
2018年11月26日(月)放送分

担当は糸数昌和さんです。

琉球新報の記事から紹介します。

旧末吉村、現在の那覇市首里末吉町の末吉公園で
祝女の屋敷「ノロ殿内」跡が発掘されたことについて、
末吉村最後のノロの故新城カメさんの娘で、
殿内で生まれ育った新城初子さん(96)が
当時の暮らしぶりを語りました。

ノロは世襲制で代々家系で
受け継がれます。

初子さんは18歳まで殿内でカメさんと
祖母のカナさんと3人で暮らし、
ヤギ、豚、ニワトリを飼い、奉公人の男性が数人いたということで、
「16世紀ごろに造られたとみられる殿内はかやぶき屋根で、
家には井戸がなく、毎日近くの湧水に水をくみに行くのが
私の仕事だった」と話します。

しかし、沖縄戦を前に状況が一変し、
初子さんは親戚を頼りにカメさんと大阪へ疎開し、
神様を祭っている神屋を守るため沖縄に残ったカナさんは
戦争の犠牲となりました。

殿内も全て消失し、終戦後、沖縄へ戻ったカメさんが
ノロを引き継ぎましたが、
ノロの風習・文化は次第に希薄になり、
初子さん自身も拝み方も習わないまま、
カメさんは90歳まで活動を続け、引退し、
末吉ノロはカメさんの代で途絶えました。 

殿内跡は記録保存され、
撤去される予定となっており、
初子さんは「ノロは琉球王府時代から続く
沖縄の大切な信仰文化」として、
殿内跡の保存を求めています。
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