苦しみ、今なお

2022年7月5日(火)放送分

担当は宮城葉子さんです。

琉球新報の記事から紹介します。

宮森小学校アメリカ軍ジェット機墜落事故の
慰霊祭に初めて出席した60代後半の
佐藤節子さんは、
宮森幼稚園の年長の時に事故で大けがを負い、
後遺症に苦しんできました。

高校卒業後およそ50年、
東京で暮らしていましたが、
去年11月に沖縄に移り住み、
「ずっとここに来たかった」
という慰霊祭で、
感想を聞かれた佐藤さんは言葉に詰まり、
何度も手ぬぐいで潤んだ目をぬぐって、
「出席してよかった。それだけです」
と言葉を絞り出しました。

今年翻訳されたアメリカ国立公文書記録管理局
所蔵の医療報告書によりますと、
「この患者は、石川事故で重度の頭蓋骨損傷を
受けた3人の患者のうちの1人であり、
沖縄のアメリカ陸軍病院で『必要に応じて』
経過観察されるべきである」
と記されています。

治療後も頭痛などの後遺症に苦しみ続け、
5年前にくも膜下出血となりましたが、
ジェット機墜落事故に伴う手術の影響で、
くも膜下出血の手術ができませんでした。

佐藤さんはゆっくりとした足取りで、
事故で亡くなった児童らの名前が刻まれた
「仲よし地蔵」に向かい、焼香をあげました。

沖縄に帰り、幼稚園の担任や同級生にも
会うことができ、「皆に感謝です」
と柔らかい表情でした。

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