平和への想いを胸に 対馬丸沈没から今年75年

2019年9月3日(火)

琉球新報の紙面からお伝えします。

太平洋戦争中に
児童や一般の疎開者を乗せた「対馬丸」が
アメリカの潜水艦の魚雷攻撃を受けて沈没し
8月22日で75年を迎えました。

那覇市若狭の慰霊塔
「子桜の塔」で慰霊祭が開かれ、
生存者や遺族らおよそ550人が参列し
犠牲者1484人の冥福と平和を祈りました。

年老いた祖母の手を引いて会場を訪れた
糸満高校3年の高橋芽生さん17歳は
「祖母たちの体験を私たち世代が
自分ごととして受け止め伝えていきたい」と
平和への思いを胸に慰霊祭に参加しました。

高橋さんの祖母・島良子さん83歳は
75年前の8月22日、
対馬丸撃沈で甲辰国民学校5年の
兄・島元洋倫(ひろとも)さんを失い
良子さんは長年、兄と同世代の人を見るたび
「生きていれば兄はどんな大人に
成長したのだろうか」と面影を重ね
「長いようで短い75年だった。
明るい兄の姿が今でも思い浮かぶ。
月日はたっても戦争で亡くした兄を思うと
とても悔しくそれは死ぬまで変わらない」と
静かに語っていました。

祖母の体験を
幼少から聞いて育った高橋さんは
「この先、沖縄戦は歴史の教科書でしか
学べない時代がやってくる。
平和ガイドになって友人や自分の子どもにも
祖母の体験を伝えていきたい」と話し
対馬丸の犠牲者や祖母らの思いを
受け継ぐ覚悟を示していました。

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